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美味しすぎて鍋が空になり、鍋底が天に向く濰坊の「朝天鍋」

朝天鍋は、濰坊で最も有名な特色ある料理で、名前がおもしろく、美味しくて鍋が空っぽになるまで食べてしまい、鍋底が天を向くという意味です。実際に、美味しいことは間違いありません。ただし、名前はこれに由来しているのではありません。伝えられるところによれば、「朝天鍋」の由来はこう言われています。清朝の乾隆帝の時代に、道端の露天商がアツアツのスープを売っていて、蓋のない鍋に入れてあったその料理は市民に非常に人気がありました。人々は、鍋に山盛りのスープに蓋をしてないのを見て、「鍋があるのに蓋がない」という特徴を捉え、「朝天鍋」と呼んだとされています。

なぜ、「朝天鍋」が流行したのでしょうか?それは鍋の蓋がないのでスープを取るために便利だからという理由では決してありません。これには歴史的な背景があるのです。現地の人々は、このように語ります。昔、農民が街へ出る用事がある時には、自家製の面餅(=小麦粉などをこねて円形状にして焼いた食品)を携帯用の食事にしていました。1つには食事代を節約するためであり、もう1つの理由は、街には「スープは無料」という不文律のルールがあったからです。そのため、農民はこのルールを十分に利用しました。お金を払って巻餅(=小麦粉などをこねて薄く伸ばして焼いて、丸く巻いた食品)を1つ購入するだけで、店側が無料のスープを提供してくれます。購入した巻餅1つを食べ終えた後、持参した面餅を取り出せば、無料のスープと一緒に十分に飲み食いができたというわけです。

無料のスープとは言うものの、もしもまずかったとしたら誰もこのルールを利用する人はいないはずです。従って、このスープは間違いなく人を魅了する独特の美味しさがあり、何とかして一杯飲みたいと思わせるものだったに違いありません。「朝天鍋」は、まず、肉や鳥を煮て作っただし汁に、豚の内臓、めんどりを加えて弱火で長時間煮こみます。そうして作った美味しいスープに、食卓に出す際に香菜や青緑色の刻みネギを入れ、数滴の醤油をたらして風味を加えたもので、肉の香りが濃厚な絶品のスープです。玄人の食べ方は、スープの中の上手に切り分けた豚の内臓を巻餅に挟み、餅を一口食べてはスープを一口飲むという方法で、お腹が膨れると同時に喉も潤ったため、当時の農民に「巻餅を一個買うこと」を納得させる動機になったとされています。